
東京近郊の中学校に通う生徒たちは、一見平凡にふるまいながらも、実は終始やり場のなさを終始感じている。そんな折り、台風が接近し、学校に籠もった少年少女たちは、そこでカーニバルを始めていくのだが…。
相米慎二監督がごくごく普通の中学生たちの日常のいらだちが、やがて台風という触媒を得て解放され、いつしかそれが狂気と化していくさまを鋭く見据えた青春映画の傑作。工藤夕貴をはじめとするときのティーン俳優たちが、それぞれ存在感を大いにアピール。また、対する大人側の代表として、三浦友和がそれまでの優等生ぶりを180度ひっくりかえす演技を披露し、その後の転機とした。第1回東京国際映画祭ヤングシネマ部門の大賞を獲得。そのとき審査委員長だったベルナルド・ベルトルッチ監督は、本作からすこぶる創作意欲を与えられたと語っている。(的田也寸志)
類い稀なる青春映画
この話は「大人」が思春期のある一面を掬い取った大人向けの
非常に作家性の強い作品だ。
どういうことか?
それは劇中の中学生等と同じくらいの年齢の子が観たとしても、ありえないから〜
とピンとこない、むしろ軽く引いてしまう危険性を大いに孕んでいる、ということだ。
しかし何故だろう、
思春期というものからようやく距離を感じられるようになった今の私が観ると
こんなにもすぅーっと理解できてしまうのは。
ふと思う、
かつての自分も台風に何かを期待したことがなかったかと。
放課後に取り残され、夜の校舎から帰宅することができない
どこか芝居がかった少年少女たち。そこで経過する奇妙な一夜。
じりじりと台風が接近する非日常的な空、気温湿度までもが伝わってくるかのような映像。
思春期における心身の不安定かつ危険な感覚、
つい見過ごされてしまいがちな青春の刹那を見事フィルムに定着させることに成功している!
単に奇天烈な話で終わってしまいそうな難しく危い題材を
抑制の効いたカメラで色褪せることのない傑作へと昇華させた
監督含めスタッフ、キャストの力量は高く評価できる。
そしてなんといっても、そうした一過性のいわば生理的現象のようなものを
台風という同じく一過性の自然現象で演出するという発想に驚かされた。
内容にしても現在主流の非力弱気な邦画(おしゃれ、キレイ、ジャニーズ)
では考えられないくらい生々しくスリリングなものがある。
ただ、男性教師を通しての、大人のだらしなさ、虚しさを描こうとする場面が
やや適当に取り付けてしまったのではと思えてしまった。
80年代半ばのモヤモヤとした白けたムードや暴力性も
20年と少し経った現在では妙にスッキリと整備されたかのようだ…
台風なんかでは何も変わりはしない
かつて「彼等」だった者にこそ一見してもらいたい稀少な異色作。
相米慎二監督の最高傑作
間違いなく、相米慎二監督の最高傑作です。
ベルトルッチ監督が、「映画自身が思春期を夢見てる」と絶賛したらしいですが、まったくそのとおり。
話の内容は、なぜかどうしようもなくイライラしている中学3年生たちが、台風の接近に伴い「狂気」じみてくる、というもの。
相米監督らしい、思春期のエロス。
工藤夕貴のオナニー・シーン。
大西結花のレイプ未遂。
大学生にナンパされる女子中学生。
そして体育館での超長尺ロングショットと、それにちゃんと応えた子役の俳優たち。
台風の中、最後には中学生らが全裸で…
何を取っても小さな奇跡のような映画。
今は表現方法が規制されているので、こういう映画は撮れないかもしれない。
すごく残念。
「思春期」を題材にした実写の邦画、という括りをつけたら、これ以上の作品はまだない。
三浦友和に注目!!
洋服の青山のCMでおなじみの三浦友和。
二枚目だけど大根役者、山口百恵の旦那と
いうだけの存在・・・・
我ながら、ずいぶん失礼なイメージを抱いていたものです。
この映画の三浦友和を観て鳥肌が立つほど驚きました。
日本の映画界には欠かせない名優です!!
一気に三浦友和のファンになりました。
三浦さんこれまで、ごめんなさい!
境界
例えば、「大人」と「子供」の
例えば、「都会」と「田舎」の
例えば、「日常」と「非日常」の
「境界(マージン)」にあることの
「不安定さ」とその裏腹の「期待感」を
描いた傑作。
ラストシーンの半身はそれを象徴。
思春期の日常にひそむ危険な衝動
思春期に生じる行き場のない不満や性的衝動を、撮影レンズが冷静な目となって第三者的に映し出してくれます。
同級生の校舎からの飛び降り自殺や、男子生徒が女子生徒を教室で襲い硫酸(かな?)を女生徒の背中にかけるシ-ンなど、ショッキングなのですが、すごく冷たい感じで見ている自分に気付かされます。
プラス的であれマイナス的であれ、そのエネルギーが弾けると、異常な行動に少年少女を向かわせていく。
それを台風の一過性のイメージと重ねて映し出しています。
ついには台風が通過したときに、彼らは下着を脱ぎ捨て、裸で校庭をはしゃぎまわります。
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