
Disk1
「隠れ名盤」と言うべきか
このディスクできくべきはRCAビクター交響楽団による「ハンガリー狂詩曲第2番」とシンフォニー・オブ・ジ・エアーによる「トリスタンとイゾルデ」第3幕への前奏曲である。むろん、ほかの演奏も立派なものであるから推薦に値するが、上記2曲においてこの盤はまさに傑出している。
ここでのストコフスキーの演奏は、かなり表現意欲を前面に出しており、ききてによっては「ずいぶんと押しが強いな」と思われるかもしれない。しかし「ハンガリー狂詩曲第2番」においてはそれが、いきている。「トリスタンとイゾルデ」第3幕への前奏曲でもその姿勢は変わっていないが、ここでのオーケストラはシンフォニー・オブ・ジ・エアーである。ご存じの方には説明する必要もないだろうが、このオーケストラはNBC交響楽団がトスカニーニ引退後に改名した団体である。わたしはNBC交響楽団がいかに実力のあるスーパー軍団であったか、このディスクをきいてはじめて得心がいった。トスカニーニの苛々した焦燥感から解放されて、オーケストラはのびのびと歌っている。この哀切きわまる曲はイングリッシュ・ホルンのソロをまじえてチェロ、コントラバスの重低音からはじまるが、その威力のなんと凄いこと!
このディスクは1960年と1961年に録音されているが、とびきり録音がよい。音楽愛好家にはもちろんだが、オーディオ愛好家にとっても「知る人ぞ知る」という「隠れ名盤」の名をほしいままにしてきた盤である。
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