
Disk1
まず名演に違いない
やはり、ブーレーズ指揮シカゴ交響楽団の名演である。
彼らしい演奏
いつものブーレーズ通り、スコアを完全に再現して各パートの見通しがよい透明な演奏。
ただ透明がゆえにバルトークがこの曲を通して何を言いたかったか、なんていわゆる指揮者の解釈や意志というものはゼロに等しい。
前任のハンガリーの指揮者は、潔癖ではあるが、彼ら独自のバランス感覚やリズム感覚をもって曲に意志を与えている点がまったく異なっている。
サンプルCDとして考えるとベストかもしれない。
ピアノとハープは打楽器か
1994年12月シカゴで録音。シカゴ響バルトーク・チクルスの第4作目。
バルトークは1939年の秋にアメリカに渡る直前の時期が作曲家として最も絶好調の時期で次々と傑作を発表している。1936年作曲の『弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽』はこの絶頂期の始まりを飾る曲で、弦楽四重奏曲第6番が最後を飾る曲というのがバルトーク好きの共通認識だろう。
管が圧倒的なシカゴ響だが、『弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽』には管のパートはない。しかしながら弦のシカゴ響も頑張っている。
この曲はまず弦楽器が2群に分かれている。ヴァイオリンが4つに、ヴィオラ、チェロ、コントラバスが2つのパートに分かれている。次に打楽器はティンパニ、小太鼓2、シンバル、タム・タム、木琴である。そしてタイトルに書いてあるチェレスタが入る。その上タイトルには書いていないがピアノとハープが入る。つまりピアノとハープは打楽器の扱いに成っている。ここが面白いところだ。『中国の不思議な役人』の方は管が大活躍でシカゴ響にピッタリの作品だ。
20世紀の音楽の特徴はこういうパーカッシブな楽器が弦や管と対等の立場でぶつかる曲が出来てきたことにあると僕は思う。このバルトークの傑作はブーレーズが一番見事に表現していると思う。
定番
もともとブレーズは「弦・チェレ」や「春の祭典」の指揮で名を売った指揮者であることから、この再録音がわるいはずはない。しかも、作曲家として、徹底的にバルトークを研究した彼は、「役人」を「バルトークの最も輝かしい作品」であると語っている。これらの歴史的事実からも、この演奏がゴールデン・スタンダードであることはすぐに推測できるであろう。じじつ、ライナーのあの歴史的演奏を別格とすれば、このブレーズの演奏に勝るものは存在しなかったし、おそらくこれからも存在しないのではないだろうか。
現在、最高の録音
バルトーク録音はCBS時代に続き2回目。CBS盤、線がきつい演奏であり、ブーレーズらしさが出ているが、円熟した今の彼には、より普遍的なスタンダードな演奏といって良いものを録音している。といって、ありきたりな演奏ではない。彼はリズム感が良く、「役人」の追いかけっこのシーンの演奏が早くなる部分では、他の指揮者の追随を許さない盛り上げ方を実現している。アッバードの録音では、この部分がもたもたして、だれてしまっている。「弦チェレ」は、緊張感ではCBS風が良いが、リズム感など総体的には、今回の録音に軍配があがる。これを超える演奏が出来るのは、彼自身以上に居ないのではないだろうか?必携!
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