
1966年から69年にかけて放送され、シーズンを重ねながら人気を伸ばし続けてきた本格SFテレビドラマシリーズ「スタートレック」。ファンからの声援に応え、まずはテレビシリーズとして企画されていた「スタートレック/宇宙大作戦」の続編が、折からのSF映画ブームもあり、劇場用超大作として1979年に公開されたのが本作品。本作のヒットから、後の劇場版シリーズ、テレビシリーズ新作の誕生へも繋がり、その意味でも大変重要な作品。
地球へと向かってくる謎の発光雲。これを阻止できるのはエンタープライズ号だけ。カーク船長をはじめ、スポック、マッコイら、オリジナルクルーが勢揃いして、新生エンタープライズ号が宇宙へ出航する。ダグラス・トランブルとジョン・ダイクストラが担当した、当時の劇場映画の最高水準での、素晴らしい宇宙空間やエンタープライズ号の特撮描写も見物。(田中 元)
STARDATE:7410.2の大事件!
ダグラストランブルと言えば、この映画を私は最初に思い浮かべる。彼の特撮センスを超える人は今まで出ていないと断言しても良い。"ブレインストーム", "未知との遭遇", "サイレントラニング","ブレイドランナー"等の映像に見る事が出来る彼の才能には突き抜けたものがあった。ただそれが一番良い形で出ているのがこの映画ではないかと思っている。それが、今回SPECIAL EDITIONになった事により、CGIその他の小細工でかなり彼の色を消されてしまったのではないかと観る前はかなり恐れたものだ。しかしその心配は無用だったようで、映像が鮮明になったことによりかえって彼のセンスが浮き彫りになり、ただただ彼の映像センスに酔わせてくれる。
一方、この映画全般に渡り、ジェリーゴールドスミスの音楽が決定的な印象を与えている。スタートレックと言えばこのタイトルテーマというあれだ、あの曲! この最新ヴァージョンでは、オープニングに名曲"アイリーア、愛のテーマ"を星空をバックに一曲丸ごと流してくれる嬉しい出だしだ。制作者はちゃんと彼の音楽の偉大さに敬意を評しているのである。また、私はサンフランシスコの上をカークを乗せたシャトルが飛ぶところでメインテーマがかかるシーンが本当に好きでここだけ繰り返して観たりする。明るい未来。力いっぱいのテーマ音楽と、何があっても負けないぞというパワーを感じて最高に良いのである。
さて、この映画は若干難解なストーリー展開にかなりクレームが出たようだが、さすがにアシモフがアドバイスを与えただけあってSF的な色が濃く私自身は気に入っている。哲学的なストーリーが物語に単なる冒険ものになってしまわないような深みを与えている。
新たな旅立ちへの第一歩
1966年のテレビシリーズ放映開始以来、30年以上にわたって人々から愛され、支持されてきた「スター・トレック」。その、映画第1作となるのが、本編Star Trek The Motion Pictureだ。
西暦2271年。地球に謎の雲状物体が接近する。行く手をさえぎるものがあれば宇宙艦であれ宇宙基地であれすべてを同化するこの物体を食い止めるため、カーク提督(ウィリアム・シャトナー)は2年ぶりにエンタープライズ号の艦長に復帰する。やがてエンタープライズ号は「ヴィジャー」と名乗る物体の中心部にたどり着き、その正体を突き止める。果たして、エンタープライズ号は「ヴィジャー」の進行を食い止められるのか--。
記念すべき映画版「スター・トレック」の監督を務めたのは、ミュージカル映画の金字塔『サウンド・オブ・ミュージック』で有名なロバート・ワイズ。『地球の静止する日』(1951年)、『アンドロメダ・・・』(1971年)で培ったSF映画製作の技法と、空間を巧みに活かすカメラ・ワークが作品に奥行きと幅をもたせている。また、「暗い」といっても良いほどの彩度を落とした画面構成が、かえって話の展開に落ち着きを生み出している。また、公開当初は不評だった、身体に密着する乗員の制服も、現在から見れば無駄を省いた機能的、未来的な衣装といえるだろう。
宇宙艦の艦長という現場を離れることに対するカークの葛藤、ミスター・スポック(レナード・ニモイ)が抱く完全な知性への憧憬などは、後の映画、テレビ・シリーズを貫く主要な題材となっている。その意味で、本作は『新スター・トレック』シリーズ以後に連なる、新たなる旅立ちの第一歩ということができるだろう。