
Disk1
演奏家が作曲家よりも重要だった時代の最後の演奏家の名演
ハイフェッツの演奏はハイフェッツの音楽ですね。
スピード感溢れる濃密な音の切れ味良いパッセージ。ハリウッドの黄金時代を思わせるような紳士的な折り目正しいエレガンス。とにかくそのスタイルに酔っちゃう、という演奏です。
でも、ハイフェッツ以後の名演と較べると、作曲家の真の音楽性や曲の内容よりも演奏家のスター性やスタイルが大きく扱われていた時代のものでしょうね。(今の時代でもムターとかアルゲリッチはかなりこのタイプに近いですけどね)
チャイコはハイフェッツのスピード溢れる推進力が素晴らしい直線的な演奏。フレージングの切れ味などが正に名人芸で表現に幅を持たせていると思います。それでも、今の時代の名演に聴かれる全方向に広がる芳醇さや豊かさなどは皆無ですね。でもハイフェッツを聴く人にはそんなのは無意味です。なんせ、彼のスタイルに酔うのが目的なので。笑
このチャイコを決定盤と推す人がいるのですが、個人的には全然そうは思いません。ハイフェッツの代表作には変わりはありませんが。
逆に私はブラームスの方が、ステキな演奏をしていると思います。表現豊かな節回しが第二楽章を中心に上品で豊かな音楽を展開しうっとりさせるものがあります。さすがはブラームス。ハイフェッツでも濃厚な音楽を展開させるのですね。
ライナーもハイフェッツ同様、真っ直ぐで品ある演奏で変に迫力や情熱で崩壊する事も無く安心して聴いていられます。ま、この時代はそういうスタイルが米国を中心に求められていたのではないでしょうか。ハリウッドの黄金期のスタイルと重なる所が多いです。
ヴァイオリン協奏曲好きとハイフェッツ好きは聴いておくべき演奏でしょう。
録音もこの時代のものとしては非常にクリアです。
米国直送の方が
曲だけを楽しむなら、全く同じ物が米国版で1000円以下で在るので、そちらを買った方がお得です。録音に違いがあるなら別ですが。
大抵は検索時に、
violin concertなど英語表記にすれば見つかると思います。
音がいいのに驚き!
1955年、57年と古い録音にもかかわらず音が綺麗です。
ハイブリット化ってすばらしい技術だな〜と改めて感じました。ヴァイオリンの音はクリアだし、
オケの伴奏も鳥肌もの。
演奏については私はハイフェッツ馬鹿なので文句のつけようがありません!
何を弾いてもハイフェッツはハイフェッツなんですね。澄んだ湖のように透明でピンと張り詰
めていて、その音は甘すぎないのに聴いているとゾクゾクしてきます。
そういうわけでこのCDはハイフェッツを知らない人でも一聴の価値ありです。ヴァイオリンっ
てこんなに綺麗な音を出す楽器なんだと驚くことうけあいですよ!!
ブラームスこそハイフェッツらしい
チャイコフスキーは名演だということになっているから、ここではあまり言及されることのないブラームスの協奏曲について是非一言しておこう。ブラームスは一般的に情熱系の女流ヴァイオリニストによって弾かれるものが評判がよいようだ。あるいはオイストラフのような格調たかい演奏もある。きっとそれらの演奏を知っているひとは、このハイフェッツの演奏は、そっけない、スケールの小さい演奏に聴こえよう。それは音楽の何たるかを知らないのである。テクニックや情感をひけらかさない、スタイリッシュな演奏こそ、曲の魅力を十分に引き出す演奏スタイルなのである。そしてこの流儀は、原曲が十分に優れていないと逆につまらなさを強調することになりかねない。
「上等の酒は水のごとし」この言葉を地で行くハイフェッツの洗練された美意識こそ、現代のわれわれは受け継ぐべきではないだろうか。もう子供だましの派手な演奏はたくさんだ。