
楽しく、スタイリッシュなミュージカル映画のオマージュ
この作品にはミュージカルコメディーという触れ書きがありますが、厳密にはミュージカルではありません。歌も挿入されていますが、その部分は微々たるものです。しかし、明るい雰囲気と突拍子も無いシーン転換にミュージカル的な要素を垣間見ることが出来ます。そして、これはそうした要素が極めてスタイリッシュにオリジナリティー豊かに活かされている快作。
ヌーベルバーグ映画の特徴として、しばしば過去の作品の様々な部分を引用するというのがありますが、これはその典型。特に古きよきハリウッドミュージカルの特徴がいったんばらばらにされて随所に配されています。とはいうもののフランス映画らしい思わせぶりな長い会話と一見意味の無い物語の進行が実にうまくブレンドされていることにゴダール監督の緻密な作品作りと才気を感じます。監督の妻でもあったアンナ・カリーナ演じる可愛いらしい乙女アンジェラがバーで歌と踊りを披露するシーン、彼女がジャン=クロード・ブリアリ扮する恋人と本に印刷された文字を駆使して無言の言い合いをするシーンなど、面白みある場面が実にうまくつなぎ合わされているところが楽しい。
ゴダール監督作品には珍しく、ほぼ全編がキュートでハッピーな雰囲気でコーティングされている本編はとてもユニークな存在であるのと同時に、本当は監督自身が心の奥底に宿している“優しさ”を最も顕著に我々の前に提示してくれている愛すべきシネマであると言い表すことができるでしょう。
かわいらしいオブジェ
ストーリーは単純明瞭だ。特別な意味を含んでいるとは思わない。見たとおりの映画である。おしゃれな会話や演技、斬新な音楽とカメラワーク等は、映画そのものがオブジェのようだ。
ゴダールの革新的な映画とされているけれど、これは歴史の産物でもあるだろう。もともとヨーロッパにはこういう作品を生みだす土壌がある。文学や音楽でも実験的な作品が多く発表されているし、それを受け入れる精神的風土が健在だ。
この映画の生活に密着したふんいきは、ヨーロッパの映画ではごくふつうのことだが、親近感があって絵にもなる。心がはずむような作品だった。
ブツ切り音楽
ブツ切り音楽や
シーンに不釣り合いな程大袈裟な音楽
の絶妙な使い方
音と映像の組み合わせ実験の胞芽が出はじめていますが
まだお洒落やコメディの範囲で済んでいる段階です
「赤ちゃんが欲しい」
と彼氏にpressureを与えまくる彼女と
「誰か彼女に子供を作ってやってください!」
と見知らぬ男達に頼みまくる彼氏
ブラック的なエンディングのオチも笑えます
ただこの映画は
ゴダールにしてはわかりやす過ぎちゃうので
ゴダール初心者には観てほしくないかもしれません
(ゴダールをナメてしまいそうなので)
『気狂いピエロ』『中国女』
辺りから観てもらいたいです
トリュフォー『突然炎のごとく』『ピアニストを撃て』等のネタもあるので
そちらを先に観ておいたほうがいいかもしれません
すばらしきかな
以前出たソフトと較べ、今回は16:9仕様になっているし画面も昔の映画にしては
大変美しく、あざやかに蘇っていてその違いに少し感動を覚えた次第です。
紀伊國屋のソフトにしては特典などが充実している割に(アンナ・カリーナの
インタビューはファンにとっては大変ありがたいです)価格も比較的納得できるし、
充実度の高いソフト化だといえると思います。
お話もゴダールにしてはめずらしく(皮肉なタッチは時折顔を覗かせますが)
幸福感にあふれた明るい恋愛喜劇に仕上がっていて、ゴダール作品を一度観てみたい
と思っている方にもおすすめ出来る内容となっています。